市営住宅の退去費用・修繕費はいくら?相場は?
自治体によって退去費用はまったく異なりますし、
また「どの程度の汚れや破損ダメージがあるか?」によって修繕費もかかるため一概には言えないのですが、
市営住宅の退去費用の相場は、
少なくとも数万円、高ければ20~30万円ほど退去費用がかかる
と考えておくと良いでしょう。
▼市営住宅の退去費用についてネット上の声
市営住宅は退去費用高すぎる〜(T . T)30万ぐらいかかるって〜。たか!
— アトピっこ (@8zsXzAjMJpeAK6Q) July 16, 2020
市営住宅や県営住宅に入居を考えている人はここ注意して!
民間と違って、退去費用20万円越えは普通だぞ!
公営住宅退去費用の特殊性。25年住んだ県営住宅を退去します。請求される額の相場?を教えてください! https://t.co/nzKNSyYQh8 #知恵袋
— 話聞き屋 桜井🌺 (@sakurai7715) June 15, 2016
えーー!そんなにかかるの?!払えないかも…汗
私もびっくりしました。30万とか高すぎる。
そこで今日は
- 市営住宅の修繕費・退去費用が高すぎる。これって妥当なの?
- 原状回復義務は入居者負担っておかしくない?
- 畳やふすまの張替えまで自己負担⁉経年劣化じゃないの?
- 退去時の掃除どの程度綺麗にすれば?カビや油汚れは専用洗剤で!
- エアコンや湯沸かし器も取り外し?ジモティーが便利!
- もし万一、退去費用が払えない場合はどうすれば?
など、市営住宅退去の知りたいこと盛りだくさんでお届けします!
市営住宅の修繕費はいくら?退去費用が高すぎる!妥当なの?
市営住宅は市が管轄のため、ホームページなどに修繕費の明細や退去時にかかる金額が明記されていないケースも多く、不安になりますね。
まず、確認したいのは「賃貸借契約書」です。
入居する際に署名捺印した書類です。どこかに保管してあるはずです。
正式な契約書ですのでここに書かれていることがすべてとなります。
賃貸借契約書には、退去時の手続きや費用がかかる場合の負担など重要項目が明記されています。
市営住宅を退去する際、特に確認しておきたいのは
「どの程度の原状回復義務があるか?」です。
「原状回復義務」とは?市営住宅ならではの注意点2つ
市営住宅に限らず、県営住宅や公営住宅など退去時には「原状回復義務」が求められます。
原状回復とは、退去する際に入居時の状態に部屋を戻すこと。
わかりやすく言うと
あなたが住む前と同じ状態にして戻してください。汚れたり壊れてるものは掃除・修理・交換して元通りにしてください。
ということです。
ここまでは一般的なアパートも同様ですが
市営住宅ならではの注意点として、以下の2点があげられます。
市営住宅を退去する際は『完全に元通りにする必要がある』ため、退去費用がかさむのです。
どこまで原状回復義務を求められるかは自治体によって異なります。
ダメージを受けた部分のみ費用を請求する自治体もあれば、特に傷んでいなくてもリフォームしなければならない自治体もあります。
経年劣化は、大家である「市の負担」じゃないの?
でも、一般のアパートであればここまでの義務はありません。
綺麗に使ってきたのに畳や襖の張替えしなきゃダメ?「経年劣化は大家さんの負担」って聞いたことがあるけど…
そうなんです。ちょっと詳しい方であればご存知だと思うのですが、民間のアパートには「国土交通省の原状回復ガイドライン」が適用されます。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
国土交通省のガイドラインにはこう書かれています。
普通に住んでいても設備や建物は少しずつダメージを受けていきますよね?たとえば、日焼けや湿気汚れなど。
こういった通常使用による経年劣化や自然損耗は「大家さんの負担」で修繕するようガイドラインで定められているのです。
たとえば、10年居住して大きなダメージもない場合。一般的なアパートであれば、原状回復費用の負担額は0円、または入居時に支払った「敷金が返還される」ケースもあります。
市営住宅に原状回復ガイドラインが適用されないワケ。
では、なぜ市営住宅にはガイドラインが適用されないのか?
国土交通省のHPにも明記されている通り、
[1] このガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定しています。
とあるように、国土交通省の原状回復ガイドラインは民間のアパートを想定して作られており「市営住宅は適用外」なのです。
また、すでに入居されている場合は「賃貸借契約書」に書かれている内容がすべてとなります。
[3] 現在、既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則です
たとえば「特約」などに、「畳・襖の表替えやハウスクリーニングは借り手が負担すること」など明記されていれば支払う義務があるのです。
というわけで、市営住宅では「経年劣化」でも、原状回復費用がキッチリ請求されるのです。
くどいですが、どこまで原状回復義務を求められるかは自治体によって異なります。
ダメージを受けた部分のみ費用を請求する自治体もあれば、特に傷んでいなくてもリフォームしなければならない自治体もあります。
契約書を見てもわからない点は、役所の担当部署に直接確認してみましょう。
市営住宅の退去費用が高い理由は「公共サービス」だから
まだ納得がいかない方のために、もう少しお話します。
先ほどもお話したとおり、民間アパートであれば、畳やふすまの張替え費用は「大家さんが負担する」のが一般的です。
お役所仕事だから許されるの?国土交通省や消費者センターからお咎めはないの⁉
市営住宅の退去費用が高い理由としては「公共サービス」である点が挙げられます。
市営住宅の家賃は安いですよね。世帯収入に応じて賃料の減免措置があります。
民間アパートのように「利益を出すための住宅」ではなく、市営住宅は「住まいに困っている収入の少ない世帯に対し安い家賃で市が供給する住宅」です。
家賃については「市が面倒を見る」分、修繕費や原状回復費用は「入居者が負担」する形になっているのです。
もし今後取り壊しされる予定の建物であれば、原状回復費用の支払い免除を求めてみるのも良いでしょう。
市営住宅の退去「畳やふすまの張替え」も⁉
さて。市営住宅の退去費用がかさむ主な要因として「畳や襖の張替え」による費用が挙げられます。
うちの畳やふすまは汚れも破れもないのに、張替えなきゃだめなの?
はい。くどいですが、賃貸借契約に「退去時の畳・襖の張替え」が明記されている限り、あなたは義務を果たす必要があります。
市営住宅「床、壁紙やクロスの張替え」は必要?
壁紙のリフォームが必要かどうかも、自治体によって異なります。
「タバコのヤニ汚れ・カビ・塗装やクロスのはがれ」など修繕が必要な損傷・ダメージについては「入居者負担」となります。
フローリングやクッションフロアの小さな傷は自分で補修できることも。
床や壁紙の経年劣化(大きなダメージはない場合)については契約書次第となります。
市営住宅の退去時、掃除はどの程度きれいにすれば?
では、退去時の室内清掃やクリーニングはどの程度きれいにすれば良いでしょう。
参考までに「平塚市の市営住宅返還(退去)の手続き」には
室内の清掃
室内にごみやほこりが残らないように清掃してください。特に台所(シンク)、レンジフード、換気扇油汚れ、排水口、トイレ、長押、ガラスのくもり、桟・サッシのほこり汚れ等は丹念に清掃してください。
ベランダ、物置、庭等の掃除・片付け
植木鉢や物干し竿、粗大ごみ等も残さずにすべて撤去してください。また、バイクや自転車等についても放置しないで撤去してください。
と詳しく書かれています。
台所や換気扇の油汚れ、洗面所・お風呂場のカビなどは、まめに掃除していない方だと頑固な汚れになるものです。
もし、カビや汚れが落ちない場合は「入居者負担による修繕扱い」となり、クリーニング費用やリフォーム代がかかるかもしれません…
しつこいカビ・汚れに効果の高い専用洗剤を用意し、早めに掃除しておきましょう。
エアコンや湯沸かし器も全部取り外すの?!譲渡もダメ?
また、自己負担で取り付けたエアコンなど、設備・家電類もすべて取り外す必要があることも、退去費用がかさむ理由の1つです。
このエアコンまだ使えますよ。エアコン取り外すのも処分費用かかるしこのまま置いていきたいんですが
はい。ダメです。
契約書で「取り外すこと」となっていればすべて外しましょう。
取り外しの難しいエアコンや大型家具、電化製品などは、
町の便利屋や不用品回収などを利用しましょう。
急ぎの場合はお急ぎ便に対応してくれる会社にお願いすると良いです。
時間に余裕があれば、地元掲示板サイトジモティを活用するのもおすすめです。(ジモティについては後ほどお話します)
親戚の住んでいた市営住宅の退去を手伝っているんですが、民間の住宅だと置いていっても良いことの多い電気やエアコン類も全撤去してほしいそうで業者さんも大忙し。
市営こそ使えるもの使って運営したほうが良いのではないかと思うのだが…— 吉田敬史/アスリートのトレーナー (@yoshidalift) February 6, 2020
今どきエアコンや湯沸かし器がない住宅の方が少ないじゃん。そもそも市営住宅に住む人は収入の少なめの方が多いのだから、中古でもエアコンついてたらありがたいじゃない。
って私も思いますし、ネット上にも疑問の声が多く出てますけどね。
契約書にそう書かれている限り『完全に元通りにする必要がある』のです。とにかく役所は融通がきかない『杓子定規』なんです。(あ、言っちゃった)
なお、退去時の張替えやリフォーム・クリーニングを引き受ける業者は、市の指定業者とは限りません。民間業者を選べるようであれば、良心的な価格・評判の良い会社を探すと良いでしょう。
エアコンや家電類の取り外し・譲渡は「ジモティー」活用おすすめ
家具家電など処分費用が高く付く場合は、
地元掲示板サイト「ジモティー」を活用するのもおすすめです。
中古のエアコンやガステーブルなど
「リサイクルショップでは値段がつかない・引取してくれない」ものも、
ジモティーで募集をかけると「それ譲ってほしいです!」という方が現れたりします。
わが家でも、大きな家具・家電をあげたりもらったりするのに何度かジモティーを使ってます。
リサイクルショップに持っていったりゴミに出すより処分も楽だし掘り出し物も見つかりやすいです。
特にトラブルになったことはないですが、初めて使う方は、以下のジモティーを活用するポイント・注意点をご確認ください。
ジモティーのメリットは「融通がきく」
ジモティーの良いところとしては、個人間の直接取引なので
- 現地でそのまま手渡しできる(送料や運搬用の車を用意しなくていい)
- 「タダで譲る代わりに取り外しを手伝ってほしい」など条件もつけられる
など融通がきくのがメリットです。
ただし、エアコンを取り外すには専用の道具・知識が必要です。
また、ジモティーでは無料・有料どちらでもお譲りできます。
直接取引なので、メルカリのように手数料が差し引かれることもありません
ジモティーのデメリットは「見ず知らずの人との直接取引」
もちろん、デメリットもあります。
どんな人が来るかわからない、というところです。
ジモティー掲示板を見て応募してきた方の「これまでの取引履歴や評価」などを確認することで、この人は大丈夫そうか、ある程度はチェックできます。
それでも見ず知らずの人を自宅に上げるのは多少なりとも不安・リスクがあります。
できれば団地前や近所で待ち合わせたり、玄関前で引き渡しする。
女性や一人暮らしの方で室内に上げる場合は、男性の家族・友人に立ち会ってもらうと良いでしょう。
▼こちらもよく読まれています。合わせて参考にどうぞ。
市営住宅の退去費用が払えないときは?分割払いはできる?
もし、市営住宅を退去する際、費用が支払えない場合はどうしたらいいでしょう。
そもそも市営住宅に住んでいるのは経済的に厳しいからで30万とかこんな大金とても払えないんだけど…
という方もいらっしゃることでしょう。
市営住宅の退去費用(修繕費やリフォーム費用)が払えない場合は、
まずは市に相談してみましょう。
分割払いや減免措置など個別に対応してもらえる可能性はあります。
家賃が払えない、生活に困っている…「自立支援制度」の活用も!
今月の家賃が払えない、働きたくても働けない、でも生活保護までは…
お金や仕事など生活全般に困っているなら
「自立支援制度」を活用してみてはいかがでしょう。
お金・仕事・住宅など
生活全般の困りごとについて相談できるだけでなく
「今まさに困っているあなたが必要な支援を受けられるように」サポートしてくれる公的な制度です。
離職や廃業で収入が減った方には
家賃を補助してくれる『住宅確保給付金』という制度もあります。
私の知り合いが支援センターで働いていて、何度か顔を出したことがあります。
相談者の状況に応じ、食糧支援や住宅確保、就労サポートなど
かなり柔軟な対応をしている様子に驚きました。
自立支援センターは、
社会福祉法人やNPO法人が運営しているところが多く
役所の形式的な対応とは違った「直接的なフォロー」を受けられる可能性があります。
「自立支援センター」は各市区町村に設置されています。
もし、直接行くのが困難であれば
まずは電話で相談してみるのも良いでしょう。
まとめ
市営住宅の退去費用の相場は、少なくとも数万円、高ければ20~30万円ほどかかります。
畳や襖の張替えなど、一般のアパートでは大家負担になるものも「賃貸借契約書」に明記されている限り支払い義務があります。
洗面所や台所の落ちない汚れやカビには別途費用を請求される場合もあるので、早めに専用洗剤で掃除しておきましょう。
また、自己負担で設置した設備や家電類も退去時にすべて取り外しとなるケースが多いです。
ジモティーなどうまく活用して、少しでも楽に安く済むよう工夫してみてください。
退去費用を払えない場合は、まずは役所に相談。
どうにも身動きが取れないときは、自立支援センターも頼ってみましょう。