「あまり好まれない」とか「あまり例がない」など、
ちょっとかっちりした文章にも「あまり○○ない」という言い回しは使われます。
しかし、この「あまり~ない」という表現は、
目上の人に対する手紙や、大学の論文、取引先への文書などで使用するのに、ふさわしい言葉なのでしょうか?
そもそも、「あまり○○ない」という言葉には、
特定の敬語や丁寧語は存在しません。
目上の人に対して丁寧に言い換えたい場合は、
この○○にあたる部分を丁寧な言葉に置き換えて使用します。
例えば、
と、いった具合です。
では、論文やビジネス文書での使い方はどのように言い換えることができるでしょうか?
例文や類語を挙げながら見ていきましょう。
「あまりない」言い換え・類語。論文やビジネス書類で使える表現は?
「あまり○○ない」の、【あまり】という言葉。
発生する数量が少ない場合や出現する頻度が少ない場合に使われます。
じゃあ、【あまり】ってどれくらいなのでしょうか?
尋ねてまわったら一人ひとり違う回答が出てきそうですよね。
50%が「あまり」と捉える人もいれば、
60%~70%を「あまり」と捉える人もいます。
非常に、ふんわりした表現だと思いませんか?
このように、相手によって捉え方の幅が大きい表現は、文学など想像力をかきたてる文章には適しています。
しかし、論文やビジネスでの文書などには、ふさわしくありません。
なぜなら、捉え方が違うと誤解を生んでしまうからです。
「あまり○○ない」の○○に様々な言葉を入れた例文を作り、他の言い回しに変えられるか、検証してみましょう。
○○に入る言葉や、前後の文脈によって、まったく違う表現に言い換えられることがわかります。
・「自分の事を棚にあげて他人のことを言うのはあまり良くない。」
↓
他にも、「好ましくない」や「理想的とは言えない」などもベターですね。
・「素晴らしい演技をするにもかかわらず、彼の存在はあまり知られていない。」
↓
・「ひな鳥がこの場所に戻ってくる光景は、あまり見られない。」
↓
いくつか例文を作ってみると、「あまり」をつけてもつけなくても、
さほど内容が変わらない文章が多いことに気づいたかもしれません。
ビジネス文書や論文に関しては、そのような曖昧な表現は、省いてしまうのが良いでしょう。
特にビジネスの場では、「あまり」「ほとんど」などぼんやりした言葉・副詞を使うのは避けましょう。
以下詳しくお伝えします。
「ほとんどない」言い換え・類語。論文・ビジネスなら「数字」で示そう
「あまり〇〇ない」の似たような言葉で
「ほとんど○○ない」という表現がありますね。
【ほとんど】といわれると、【あまり】よりも限定されて、
80%以上を想像する人が多いのではないでしょうか?
しかし、現実には、
「あまり○○ない」と区別なく、同じような場面で使われています。
それから、
「滅多に○○ない」とか「稀にしか○○ない」や「そうそう○○ない」
といった類語もありますね。
先ほど、【あまり】と【ほとんど】の感覚をパーセンテージで示してみましたが、
情報を的確に伝えたい場合は、曖昧な表現を省き、
誰もがわかる数字や割合(パーセンテージ)で表すことをおすすめします。
レジュメにはよく円グラフや棒グラフなど、わかりやすい資料が添付されていますよね?
円グラフで「50%」と示されれば、すべての人が「50%だ」と理解できます。
【あまり】など曖昧な表現を使用すると、
50%と捉える人、60%と捉える人、70%と捉える人、
みんながばらばらの理解をしたまま、次に進んでしまうのです。
ですから、曖昧な表現を使わずに、
誰もが同じ認識を持てる、数字で表すのがベストです。
例えば、
という社内文書があったとします。
「あまり増えないって、どれだけ?」
「増えないてないわけではないんだよね?」
このように社員ひとりひとりによって、解釈がいろいろ変わってしまいますよね。
これを、社員全員に的確に伝えるメッセージに変えてみましょう。
これなら、社員全員が同じ認識を持つことができますよね。
数字やパーセンテージで示すことは客観的なデータで裏付けるということです。
信頼性と説得力が増すため、交渉や商談の場に限らず、社内文書やDM、家族との対話など有効に活用してみましょう。
他にも、会話でよく使うけれど敬語やビジネスの場にふさわしくない口語表現の言い換えに悩むことありますよね。
▼だって○○でしょ?「だって」の言い換え・類語や丁寧語こちらにまとめました。
まとめ
「あまり○○ない」という表現は、日常的によく使います。
よく使っているわりには、きちんと理解せずに使っていたり、
必要ない場合も「あまり」と付けていたことがわかりました。
あいまいで感覚的な表現は、
日本語の良いところでもあり、難しいところでもありますね。
情報を的確に伝えたい場合は、あいまいな表現は避けて
誤解を生まないように気を付けましょう。