日本は台風や大雨が多いですよね。
暴風雨では外に出たくないですし、下手すると外にいることで命の危険にさらされてしまうことだってあります。
人間でもそうなのに、さらに小さい鳥たちは
台風や大雨の時どうしているのでしょう。
一般的に人間が多く住む地域にいる鳥たちは、
人家やビルのすき間、木の間や橋の下などの雨や風を遮れる場所に避難して、
風や雨が弱まるのをじっと耐えています。
自然の真っ只中にいる野鳥は、雨に打たれる巣の中の雛を、夫婦で交代交代で守る鳥もいれば
荒れ狂う波もなんのその、暴風雨でも海の上を飛び回る海鳥もいます。
そこで、ここからは
- 鳥は雨の日でも自力で餌を食べに行く!
- 海鳥は暴風雨でも海の上?!おすすめYouTube動画
- 台風でスズメ大量死も…巣立ち前後のひなは命がけ
- 台風の後「弱った鳥や雛」を見つけたらどうしたらいい?鳥獣保護法
についてお話します。
鳥は雨の日でも自力で餌を食べに行く。海鳥は暴風雨でも海の上?!
鳥は、雨が降ると羽が濡れてしまい、体温が奪われます。
そして、風が強い中飛ぶと体力も奪われます。
このためスズメなどの小さい鳥は可能な限り
雨風が弱まるまでは、お腹が空いても我慢しているのです。
しかし、鳥は飛ぶために体を軽くする必要があり「餌をまとめて食べておく」ことができません。
食べたらすぐに排泄してしまうため、1日に何回も餌を食べる必要があるのです。
特に子育て中ですと、ひなに餌をあげなければいけません。
なんとか雨風が少し弱まったタイミングで探しに行く鳥もいるのだとか。
台風の中ひなを守るため餌を探しに行くなんて、どんなに大変か・・・。
こちらの動画では、巣の中にいる雛の上で羽を広げ、夫婦で代わる代わる雨から守っている親鳥の姿が見られます。
雨風から身を守る場所の無い、自然の真っ只中にいる鳥たちにとっても、雨季はまさに命懸けです。
【YouTube】海鳥が暴風雨の中飛び回る様子
では海鳥はどうなのでしょうか?
台風や大雨ですと海も大きく荒れます。
日本の港や海沿いでよく見かけるカモメは
他の鳥と同じように橋の下など雨風がしのげる場所で、じっとしています。
しかし、その逆で
暴風雨の中でも果敢に飛び回る海鳥たちも!
こちらの動画では、荒れ狂う波しぶきの中でも構わず飛び回る海鳥の様子が撮影されています。(撮影地:東北海道)
こんな激しい暴風雨の中でも鳥は飛べるものなのかと驚いてしまいました。
その他、海外では
台風が来るギリギリまで海に餌をとりに行き、
台風が近づくと、台風から遠ざかる様に飛んでいく鳥や
中には、台風の目の中に向かって飛ぶ鳥もいるのだとか!
鳥の種類や生態によってもさまざまな対処をしているのですね。びっくりです。
台風でスズメ大量死も…巣立ち前後のひなは命がけ
台風の時は雨風がしのげる場所でじっとしている鳥ですが、
2019年の台風15号通過後に野鳥が大量に死んでいるのが関東圏の各地で発見されました。
約3000羽のスズメとムクドリです。
検査の結果、鳥インフルエンザは陰性でした。
このため、大量死の理由としては
記録的暴風を引き起こした台風15号によるものと考えられています。
この台風15号があった9月は
ちょうどひな鳥が巣立ったばかりの時期でした。
適応力のない若い鳥たちが犠牲にあったと推測されます。
スズメなどの小型の野鳥の多くは、
巣立ってから初めて飛び方や餌の取り方など生きていくための術を学びます。
ツバメやムクドリは飛べるようになってから巣立ちますが
やはり巣立ったばかりの鳥はうまく飛べないことも多いです。
餌が取れなかったり、外敵から襲われてしまったりと生存率が低いのです。
巣立つ前はもちろん飛べませんし、巣立った後も親鳥や若い鳥に生きていく術を学んでいる最中なので、常に命がけなのです。
大雨台風の後「弱った鳥や雛」を見つけたらどうしたら?自然のままが基本
では、弱っている鳥や雛を見つけたときはどうしたら良いでしょう。
手を差し伸べたくなってしまうかもしれませんが、
「鳥獣保護法」で野鳥を捕まえたり飼ったりすることは禁止されています。
大きな怪我をしていたり希少種など一時保護・治療することもありますが(後述します)
基本的には「自然の生き物は自然のままにする」ことが原則です。
巣から落ちた様子の雛がいても、手を出してはいけません。
近くで親鳥が見守っているものです。
人間が側にいることで子に近づけず、余計に弱らせてしまったり育児放棄につながることも。
人間が雛を保護することは親鳥からしたら「連れ去り・誘拐」です。
長引く豪雨や暴風、台風の後に弱っている野鳥を見つけても、人間が手出しをすることは控えた方が良いでしょう。
大きな怪我や希少種は保護対象となることも
ただし、羽が折れているような大きな怪我の場合、
また渡鳥や絶滅危惧種など希少種については、行政による保護を必要とするケースもあります。
自然界の野生鳥獣は、或る程度のケガならば治癒できる自己回復力を持っています。しかし、羽を骨折しているなどの症状の場合、県で委託先動物園の獣医に診てもらうケースもあります(最終的には放鳥獣)。その際は、地域を管轄する県農林事務所(森林整備課)へお問い合わせください。
ケガをした野生鳥獣を見つけたらー静岡県
なお、カラス、ドバト、カワウ、ムクドリ、キジバト、スズメ、ヒヨドリなど生息数の多い鳥や雛やペットで飼われていたインコなどは保護の対象外です。
保護される種類かどうか、野鳥の保護の流れや誰が金銭負担をするのか?等については自治体により対応が異なります。
判断に迷うときは、お住まいの地域の野生動物保護を担当している課に直接確認してみましょう。
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まとめ
自然界で生きていくだけでも大変なのに、台風や大雨は鳥にとって、とても過酷な状況です。
暴風雨の中でも飛び回る海鳥の姿には驚きましたが、体の小さい野鳥では堪え忍ぶしかない状況も。
雨の日に、姿は見えないのに大量のスズメの鳴き声が聞こえてきたことがありましたが、あれは木の中で雨宿りをしていたのですね。
鳥にとっても晴れた日が一番でしょう。
台風の後に弱った鳥や雛を見つけても、安易に保護しないこと。
もし見かけたら「頑張って!」と心の中で声を掛けてそっと立ち去りましょう。