新しいエアコンを古いエアコンと取り換える際、たいていは購入店に下取りという形で新品と交換してもらい、差額を支払う人が多いと思います。
しかし、壊れてしまった古いエアコンの処分だけしたい場合はどうなるでしょう。
家電リサイクル法により、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は処理にお金がかかります。
しかも、業者さんにエアコンを取り外したり運搬してもらうと手数料が高いですよね。
+
取り外し&運搬費用(平均的に4,500円~7,000円)
最低でもこのぐらいかかります。
この費用を少しでも浮かせるためには、
という方法があります。
自分でやれば取り外し費用はかかりませんし、無料で廃品回収してくれる業者もよく耳にしますよね。
ところが、この方法はきわめてグレーゾーンと言えます。
場合によっては、違法行為になるかもしれませんよ。
どういうことか、詳しくみていきましょう。
エアコン・室外機は鉄くずで売れる。いくらで売れる?
まず、壊れて動かなくなったエアコンでも、価値はあるんです。
それは、鉄くずとしての価値です。
なぜなら、エアコンの内部部品には、アルミニウムや銅、鉄など、再生可能な金属資源が多く使われているからです。
鉄鋼メーカーなどはスクラップとして引き取った鉄くずも高炉で溶かしてリサイクルし、鋼材を生産しているので、非常に需要があるというわけです。
エアコン買い取り業者や廃品回収業者は、それらの金属屑をスクラップ業者に転売して利益を得る、という仕組みです。
銅などの買取価格は時価ですので、時期によって相場は大幅に異なります。
スクラップ業者の買取金額は「室外機+エアコン本体=2000円ほど」です。(後半で詳しくお話しします)
エアコン買取業者・廃品回収業者に回収依頼の注意点
ここで、大事な注意点があります。
ネット上にはたくさんのエアコン買い取り業者が紹介されていますし、廃品回収業者も数多くいます。
エアコンの処分料金が安い業者か、買取金額を付けてもらえたらラッキー
と思って選ぶのは危険です。
なかには、許可を持たず不法に営業している業者もたくさんあるからです。
これらの仕事には、一般廃棄物収集運搬許可というものが要ります。
エアコンは解体の際にフロンガスなど環境に有害な物質が放出されるので、これらの有害物質を適切に回収処理するための設備を持っていないと、営業の許可がおりません。
環境に配慮した適切な解体処理のためには、労力と設備費がかかるので、リサイクルにお金がかかるシステムになっているんですね。
許可を持っていない悪質な業者のなかには、最初は無料を謳っておいて、回収した後に高額な代金を請求するトラブル事例もあります。
適正な処置をせず(フロンガスを大気中に放出すなど)無許可解体を行い、スクラップ業者に鉄くずとして転売しているのです。
知り合いの電気屋さんに「エアコンの処分費用の相場」を聞いてみました。
エアコン取外しで適切な処理を依頼する場合、相場はいくらくらいでしょうか?
知り合いの電気屋さんで、エアコンの取付・取外を個人で請けている方がいるので、エアコンの処分費用の相場について聞いてみたところ、
エアコン取外しは通常5000円で設定しているそうです。
というのも、電気屋さんで取外した室外機等はスクラップ業者で買い取ってもらうのですが、
スクラップ業者での買取金額は「室外機+エアコン本体=2000円ほど」とのこと。
5000円でエアコン取外しして2000円で売れたとしても、電気屋さんの手元に残る利益は3000円ほどなんですね。
人件費や交通費を考えると、決して儲かる商売ではないですよね。
ちなみに、銅の買取相場はインターネットでも調べられますが
並銅と呼ばれる買取金額は1140円/kgです。(2023年7月現在)
室外機自体は「20~30kg」ほどありますが、すべてが銅でできているわけではありません。
銅やアルミを買い取るスクラップ業者では、使える金属類を取り出したり、フロンガスを大気に放出しないようフロンガスを抜いて粉砕向上で処分(無効化する処理)する必要もあります。
もちろん、保管場所や自分たちの利益も確保しなければなりませんよね。
こういったことを考えると、
エアコンの取り外しを依頼する場合、費用がかかるのは妥当ということがわかります。
少なくとも、軽トラの回収業者のように「業態が不明」な業者に回収依頼するのは避けた方が良いでしょう。
エアコンの取外しは、適正な業者に依頼しましょう。
エアコンのリサイクル料金はいくら?家電リサイクル券センター
環境に配慮した適切な方法でリサイクルを推進するために、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品は「家電リサイクル券」というシステムが作られているのです。
家電を製造するメーカーや家電量販店は、古いエアコンを消費者から回収する義務が定められています。
そして、指定リサイクル工場で処理するために、消費者にはリサイクル料金の支払いが義務付けられています。
エアコンの処分に必要となるリサイクル料金は 990円(税込)です。
他の家電は、製造メーカーや年式によって料金が異なる場合があります。
家電リサイクル券センター「リサイクル料金一覧表」でご確認ください。
https://www.rkc.aeha.or.jp/document/recycle_price_list.pdf
このリサイクル料金の支払い方法には2種類あります。
料金郵便局振込方式
自治体や自治体から許可を受けている業者に、直接家電を持って行って処分を依頼する方法です。
指定の場所まで持っていく前に、あらかじめ郵便局の窓口でリサイクル券を購入し、郵便局で支払いを済ませ、その支払い済みのリサイクル券を持参する必要があります。
また、リサイクル券には、大きさやメーカーなどを記入する欄があります。
そして、リサイクル券の裏面のシールを処分するエアコンに貼り付けます。
貼り付ける場所もそれぞれの家電ごとに決められていますのでご注意ください。
料金販売店回収方式
製品を購入した家電販売店に、処分の依頼をする方法です。
リサイクル料金は、家電販売店に支払います。
また、リサイクル券の記入なども家電販売店のほうで書いてくれます。
大手の家電量販店は、たいがい、「RKC 一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター」に加入していますので、②料金販売店回収方式 が利用できます。
小売業者のなかにはRKC未加入のところもありますので、その場合は①料金郵便局振込方式になります。
指定取引場所も家電リサイクル券センターのHPで、お住まいの自治体を打ち込んで検索することができます。
まとめ
古くなったエアコンを処分するとき、自分で取り外しなどを行って費用を抑えたとしても、
最低でもリサイクル料金990円は支払わなければならないことがわかりました。
街で大音量で無料を謳う廃品回収業者はよく見かけますが、無許可営業の可能性がありますので、エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品に関しては注意しなければなりませんね。
また、エアコン買い取り業者も、買い取り査定額をよく確認しましょう。
もう壊れて動かないのに、プラス査定する業者は、無許可解体でスクラップ業者に転売していると考えて間違いないようです。
環境のために、家電は正しい処理をこころがけましょう。